ちるちるみちる CHIRU CHIRU MICHIRU
収録曲
1.水面のワルツ
2.鳥になる
3.プラネタリバー
4.風の国から来た女
5.虹色の馬
6.あなた
7.ジンジャーエール
8.青い窓
9.ラララフローラ
10.憑かれた池
11.散歩道
12.ちるちるみちる
MEMBER
畑下マユ
歌、ガットギター
コーラス
キーボード
元山ツトム
ペダルスチールギター
録音
ミックス
マスタリング
水谷康久
アルトサックス
ソプラノサックス
フルート
森綾花
絵
水田十夢
デザイン協力
取り扱い店
JET SET
RECONQUISTA
more records
ROOK RECORDS
Tobira Records
黒猫
the place RECORD
CATNOISE
MARKING RECORDS
Kubrick(香港)
アルバム制作にまつわるエピソード
✏2022/1/28
いよいよ2/6(日)に1stアルバム「ちるちるみちる」が発売となります。それに先駆けて、アルバム制作にまつわるエピソードとメンバーへの想いを綴ります。
ーグッケンハイム邸
最初のレコーディングは昨年3月に塩屋のグッケンハイム邸でおこないました。青い大きな窓から海が見える2階の部屋でした。音がすーっと隅々まで伸びていき、ずっと歌っていたくなる空間でした。あまりにも素敵なロケーションでしたが、14曲の一発録りOKテイクを一日で出さなければというプレッシャーや、ギターの技術不足もあり納得のいく演奏は録れませんでした。
そこから元山さんに準備期間がほしいことをお伝えして、一旦レコーディングは延期になりました。
ースタジオランジュンス
元山さんとも相談し、アルバムの内容を途中でがらっと変更しました。当初は細々したインスト曲がたくさん入っているものになる予定でしたが、数年前に歌って以来封じ込めていた歌ものの曲なども取り入れ、ペダルスチールギターやサックス、フルートが入るのを想定し編曲し直しました。8/10、11と二日間かけてスタジオランジュンス(水谷さん宅)をお借りし、今回アルバムに入っている12曲を歌とギターの一発録りで録音しました。さらに一部の曲の録り直しを行い、その後コーラスを自分で重ねていきました。9月からはペダルスチールギターとサックスの録音がはじまり、立ち合いなども経て、年内にマスタリング音源が完成しました。
ーデザイン試行錯誤
2020年の秋に水田十夢さんと初めてライブ会場でお会いし、その後ハイファイカンパニーという会社でCDジャケットのデザインもされていることを知り相談をはじめたのが2021年2月。当初は5月に音源完成の予定が、延期となり、さらに内容も変わったため、十夢さんには丸々1年かけてお付き合いいただくことになりました。今回ジャケット印刷をお願いしたアサヒ精版との打ち合わせにも同伴させていただいたり、現場や仕事内容もいろいろと見させていただきとても大きな経験となりました。Molly DrakeのLPを事務所に持っていき、「こんな風に窓から森さんの絵が見えるようにしたい」と伝えたのが最初の日。はじめに一番理想の形を伝え、サンプルを作っていただき、見積もりを取ってもらいましたが、膨大に費用がかかることが分かり落胆し、そこから予算と理想との駆け引きの闘いがはじまりました。基本的にはわたしが理想を伝え、十夢さんが現実と照らし合わせて意見やアイデアをくださいました。十夢さんのサポートやアイデアがなければ生まれ得なかったことがたくさんあります。何度も打ち合わせを重ね、ようやくお互いが納得のいく形が見えたときはとても嬉しかったです。こんな小さな一個人の作品にも、ここまで時間をさいて一緒に作り上げてくださったこと、とても感謝します。
ーはじまりはいつもまっくらやみ
アルバムのタイトルにもなっている「ちるちるみちる」という曲は、わたしが曲を作れなくなり音楽活動を休止しようとしていた寸前、森綾花さんが魔法使いのように現れ、彼女の作品群を見て受けた印象によって生まれた曲です。何度もおまじないのように出てくる“はじまりはいつもまっくらやみ”というフレーズがあり、森さんの個展で初めてこの曲を歌ったとき、とても感動してくださいました。それは、偶然にも森さんの絵というのは、最初にまず木炭で画用紙を真っ暗にしてから描きはじめるのだそうで、森さんが絵を描きはじめるたびに対面するその真っ暗な“混沌状態”の不安や緊張感のようなものを無意識に認識できたということにわたし自身も感動しました。そして森さんにすぐ「ちるちるみちる」を中心にしたアルバムを作るから絵を描いてほしい、と言いました。しかし私の精神力が及ばず、数年が経ち、ようやく作曲活動の熱が戻ってきた2021年、恐る恐る森さんに依頼をしたところ、快く引き受けてくれました。
ここからは少し種明かしのようなものを含みます。
友人に子どもが生まれてすぐくらいのことでした。赤ちゃんを見に、友人の家に遊びに行った際、上下黒の服を着て行ってしまい、「赤ちゃんを抱っこするのに、真黒な格好で来てしまった。怖がらないかな...」と聞くと、やさしい友人が「生まれたての赤ちゃんは白黒しか分からないから、全然大丈夫だよ」と言ってくれました。アルバムの内容を考案する際にこの友人の言葉と“はじまりはいつもまっくらやみ”というフレーズが繋がり、目というテーマが浮かびました。人間の目だけでなく、人間の目を模したカメラで撮られる写真、映画といった芸術もモノクロからはじまっていると気づき、ジャケットに開ける穴にも、人間や芸術のはじまりの象徴としての“目(または内なる目)”の意味を持たせられたらと思いました。見る人によって、聴く人によっていろんな解釈のできる作品になっていたら嬉しいなと思います。
ジャケットの穴は最初、森さんの絵全体が見えるように切り抜く予定でしたが、森さんのアイデアで、手元だけが見えるようにしました。ジャケットを開くときに、どきどき感を味わってもらえたら嬉しいです。